デザインを決めるのは誰

僕は、カメラマンの師匠と喧嘩して、写真加工ソフトのフォトショップをいじりたさに、デザイン事務所に潜りこみ、そのままデザイナーになりました。デザイン事務所では、外部の営業マンが、デザインの仕事をもってきて、お客様のところで、オリエンテーションという名の説明会をうけ、疑問点についてヒアリングをし、どのようなデザインやコピーがお望みなのかを聞いていました。

そして、デザイン案を2案作成し、お客様にどちらがいいでしょうと、プレゼンします。お客様は、ほぼほぼ、こっちの案がいいとおもいますが、のちほどご連絡しますと、社長の決裁をあおいで、デザインを決めるのです。場合によっては、社長の奥様が青色が好きという理由だけで、青色の案がきまることもありました。

これは、潜り込んだ紙のデザイン事務所も、自分で立ち上げたウェブ制作会社の初期も、ほぼこのフローでデザインが決められていました。何が言いたいかというと、デザインを最終的に決めているのは、デザインの素人であるお客様なのです。

デザインを決めると言う行為の難しさ

プロダクトやファッションデザインと違い、視覚伝達デザインの多くは、文字と写真、イラストの組み合わせで作られます。優れたデザインを作るためには、優れたコピー(キャッチコピーやボディーコピー)、写真、イラストが必要です。もちろんお客様は、それらもみて判断しているわけですが、プレゼンの段階ではダミー要素であることが多いです。デザイン以前に、それらの構成要素に、重要なメッセージが込められていることが、伝わってない場合があります。

コピーは重要、しかし文章は読まないという意見も

特にコピーは重要です。最初に視覚に飛び込んでくる写真やイラストも重要なのは当然です。しかしWebの場合、長い文章は読まないという噂がまことしやかに語られています。ですが、お客さんが最終的に購買を決めるときには、隅から隅まで文章を読んで検討するものです。また、検索エンジンに検索されるためにも(SEO)、検索されやすいキーワードが、見出しのコピーに使われていることが重要です。ホームページは最終的にコピーの質で決まるのです。

デザイン案は何案必要なのか

オリエンテーションが開催されるときは、競合がいる事が多く、公平を期すため、質疑応答は最小限で、提出するデザイン案の点数も指定されることが多いです。限られた情報からデザインをおこなうためには、可能性のある方向性を探るため、必然的に点数は多くなりがちです。
私は、デザインの師匠から、デザイン案は2案とし3案提出してはいけないと教わりました。それは2案であれば、「どちらにしますか?」と聞けて、こっちかなと方向性がみえてくるのが、3案だと、決められなくって、A案とB案をあわせた、D案を作ってくれないと、とっちらかった方向に進みがちです

お客様と一緒にデザインをする

プレゼンの時に、それぞれのデザイン案について説明をするのは当然ですが、しかしそれはお客様から一方的にうけたオリエンテーションの内容をデザインにしただけです。そうではなく、お客様の解決しなければならない問題点は、お客様も気がついていないかもしれません。お客様の顧客が望んでいること、自社の特徴と売り、競合の状況を分析して、お客様が望み、自社が勝てる強みを、デザインに表現しなければなりません。そのためには一方的なオリエンテーションではなく、サイト診断、コンサルティングを経て、始めて、お客様と一緒にデザインをしていくのです。そう、デザインはお客様と自分達共同で決めて責任を持つのです

お客さんと作ったデザインは1案でいい

お客様と話し合うのはビジュアルデザインの話だけでなく、写真やコピーについても、コンサルで発掘した強みを生かす素材について創り上げていきます。すなわち、よくあるダミー要素で構成されたデザイン案でなく、本番の写真やコピーがはいったデザインになります。素人であるお客様が、ダミー要素で構成されたデザイン案のよし悪しを判断できるわけがありません。デザイン案は、2案3案でなく、10案、20案のデザインが遡上にあがることも考えられます。しかし、検討を進めていくと、要素がリアルであることで、デザインはおのずと1つに決まってきます。そしてそれがお客様が顧客に伝えなければならない唯一のメッセージなのです。

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