ウェブサイトを新たに作る、またはリニューアルするとき、依頼する制作会社やフリーのウェブデザイナーに事前に伝えるべきことはどんなものがあるでしょうか。スムーズなプロジェクト開始のために、制作会社の立場から考えてみました。
1.予算規模
最初にこれをもってくるのはいやだったのですが、やっぱり予算規模からですかね。0円〜数億円までの価格差があるウェブ制作ですので、想定している規模感をまず伝えた方が、何ができて何ができないということが明確になります。その後、サイトの目的とあわせて予算の折衝をする形になります。
2.希望する公開日
たとえば、展示会にあわせて公開したいという場合は、必須条件になりますので、予算とあわせて、スケジュール的に可能な提案をしてもらうということになります。
3.ウェブサイトの対象者
どんな人に見てもらいたいかを、できるだけ具体的に提示します。性別、年齢、職業、年収、よく読む雑誌、日曜は何をしているかなど、その人の顔が浮かんでくるようなものをメモにして伝えます。このようなユーザーモデルを専門用語でペルソナといいます。
4.サイトのゴール
ウェブサイトを作成して、達成したいゴールを明確にします。たとえば、売上200%増がゴールだったとします。その場合、サイトからのお問い合わせを月20件から40件に増やすなど、そのために必要な中間目標を考えます。目標はできるだけ数字で明確にできるものにすべきです。専門用語では、最終目標をKGI、中間目標をKPIと言います。どちらも計測可能なものであるべきです。
5.サイトのイメージ
作って欲しいサイトと似ているサイトがあれば、それを伝えます。全体的でも、部分的でも構いません。見た目だけでなく、機能などでも参考になると思います。
6.競合サイト
競合他社のサイトがあれば、それを伝えます。参考にしたい点、業界の慣習などもあれば参考になります。
7.アクセスログの傾向
リニューアルの場合のみですが、毎月の大まかなアクセス数と合わせて、どのページが一番見られているか、どんな検索キーワードからサイトへアクセスされているかなどを伝えます。Google アナリティクスを使っている場合は、一時的に閲覧権限を提供し、見てもらうとよいでしょう。
8.サーバーとドメイン
リニューアルの場合は、現在使っているサーバーと、ドメインを管理している業者を伝えます。多くの場合、現状のサイトに影響を与えないよう、新しいサーバーで構築し直す場合が多いです。新サイトを公開するとき、ドメイン情報を書き換えてドメインネームの移行が可能かも調べておく必要があります。
新規の場合は、ドメインの取得をしているかどうかを伝えます。まだしていない場合、取得可能なドメインを提案してもらい、そのなかから選ぶ形になります。サーバーはCMSの導入によっても大きく変わってきます。月々の予算とあわせて、希望を伝えるとよいでしょう。
9.CMS導入の要否
CMSを導入して、自分達で更新したいか、更新の度に、制作会社に依頼するかを決めます。CMSを導入する場合、例えば公開承認機能といったようなものも必要かを伝える必要があります。
10.スマホ対応の要否
スマホからの閲覧に対応する必要があるかを伝えます。スマホからの閲覧が必要な場合、パソコン向けサイトと同じ構成でよいのか、スマホ向けには別の構成にするのかなども伝えます。前者の場合レスポンシブ・デザインで対応する形が考えられます。
11.SEO対策の要否
あからさまな外部施策は、スパムと判断されるようなり、コンテンツの質が重要になってきました。それでもまだ、sitemap.xmlを送信する、titleタグに重要キーワードを含むようにするなど、内部施策で可能なこともあります。これらの作業を行ってもらえるのか確認する必要があります。
12.ソーシャルメディア対応の要否
例えばセミナー情報を更新したときに、Twitterへの投稿や、Facebookページへの投稿が必要かを伝えます。TwitterやFacebookのタイムラインを掲載したいか、サイトの記事にはてブなど各種SNSによる情報拡散ボタンが欲しいかなどもあわせて相談するとよいでしょう。
13.ロゴデータとコーポレートカラー
会社のロゴがあれば、その印刷用のデータ(イラストレーターファイルが理想、なければJPEG/PNGでも)と、会社の色がきまっているようでしたら、その色を伝えます。業者がスムーズにデザイン提案にはいれるでしょう。
14.公開後の保守、サポート
VPSや専用サーバー、CMS等を使う場合は公開後のセキュリティアップデートに対応可能かを確認します。コンテンツの更新も、CMSを使って自分達で行なうのか、更新の度に制作会社に依頼するのかについても相談しましょう。
最低限の確認事項のつもりだったので、10項目以下でまとめたかったのですが、ちょっとオーバーしてしまいました。これ以外にもサイトの目的や、求めるゴールによって個別に確認した方が良い項目はあると思います。
制作会社によっては、ヒアリングシート等を用意して同様の項目を質問してくれるかと思います。まだ検討中の事項など、伝えられない項目は、制作会社と相談のうえ決めていけばよいと思いますので、その旨を伝えましょう。
(担当:小山智久)