Movable Type7が発表になって、数ヶ月が立ちました。まだ目立った実装事例はないようですが、大幅に変わったと言われるMovable Type7(以下:MT7)。いったいどこがどのように変わったのでしょうか?MT東京でハンズオンがありましたので、そこで覚えてきたことをまとめたいと思います。
コンテンツにこだわったMT7
MT7をインストールしてメニューを見ると、コンテンツデータとコンテンツタイプという見慣れない項目があります。コンテンツデータがコンテンツを入力する箇所で、コンテンツタイプというのが、コンテンツをいれるフィールドを選択しグルーピングしてコンテンツタイプを定義するところになります。
コンテンツタイプを開くと、一覧と新規があります。新規をクリックして、コンテンツフィールドに、テキストや数値、カテゴリーなどといったフィールドをドラッグドロップしてゆきます。ドラッグしてきたフィールドに、例えば不動産会社のサイトなら、物件名や家賃、間取りといった名前を付けます。必須フィールドはスライダをクリックして必須にして保存すれば、コンテンツタイプの完成です。
いままでの記事やウェブページにカスタムフィールドを使ってやっていたことや、本文はいらないのでプラグインで隠そうなどといった回りくどいことをせずとも、コンテンツにあった入力欄を複数構築できるのが、このコンテンツタイプです。コンテンツタイプは、他のコンテンツタイプを含むことができます。MT7ではカテゴリーも複数持てるようになりましたので、どちらを使うか悩ましいところですね。
このように、コンテンツ毎に入力欄を定義することによって、入力欄全体がコンテンツに即した物になります。
コンテンツにあわせて入力欄を設計するのは、エンタープライズCMSでは当然で、MT7も今回のバージョンアップで、そちらの方向に大きく舵を切ったと言えるでしょう。
どのようにしてコンテンツを表示するのか
基本は以下のタグで表示します。
<mt:ContentField conetnt_field=”コンテンツフィールド名”><$mt:ContentFieldValue$></mt:ContentField>
カスタムフィールドと異なり、ブロックタグになっているところがポイントだそうです。<$mt:ContentFieldValue$>のところは、画像などの場合はAssetタグがはいりますし、カテゴリー関連のタグがはいることもあります。
一覧などのアーカイブを表示したい場合は、
<mt:Contents content_type=”コンテンツタイプ名”>
<mt:ContentField conetnt_field=”コンテンツフィールド名”><$mt:ContentFieldValue$></mt:ContentField>
</mt:Contents>
で表示できます。mt:Contentsは、mt:Entriesのモデファイヤーがほとんど使えます。
一方、WordPressも大きな変化をとげようとしている
何かと、Movable Typeと比較されがちなWordPressですが、WordPressもバージョン5を目前として大きな変化を遂げようとしています。
グーテンベルグというそのプロジェクトは、入力欄をブロックエディター化し、よりリッチにしようという変更のようです。近年、JimdoやWixといったビジュアルエディターを搭載したCMSが注目を浴びるようになり、WordPressはそれらに対抗すべく舵をきったようです。
入力欄は見出し、段落と綺麗に整理されますが、そこに何がはいっているかは分かりません。一方、MT7のコンテンツタイプであれば、どの部分にどんなコンテンツがはいっているかが分かります。ここは決定的に異なる点です。
WPでも、CSSのクラスが個別に指定できたり、MT7でも、テキスト[複数行]にブロックエディターが追加されたり、どちらも弱点を補おうとしているのが分かりますが、CMSとして正常な進化を遂げているのはMT7だと思います。
ただ、プロジェクトグーテンベルグのブロックエディターはとても魅力的です。このサイトでエディター部分だけプレビューすることが出来ます。
Frontenberg
https://frontenberg.tomjn.com/
どちらが明日のCMSとして最適か
コンテンツ指向ともいえる設計で、コンテンツを管理配信できるようになったMovable Type7,一方、リッチなブロックエディターを実装し、ユーザーが配信したいレイアウトを作りやすくなったWordPress5。どちらも一長一短で、足して2で割ったようなCMSがあればよいのですが、それはありません。
ある程度の組織向けのリアルCMSを望むならMovable Type7、mediumのようなシンプルなブログを始めたいならWordPress5でしょうか。あなたはどちらを選びますか?
[文:小山智久]