CMSについては、すでに過去の記事「CMSとは?あらためて確認しよう。できること、できないこと」や、「CMSの選び方 判官びいきもありつつ」「Movable Type vs WordPress 徹底比較 どっちのCMSを選ぶ」などの記事でも取り上げてきましたが、弊社の主力サービスなのでしつこくいきます。今回はCMS導入時の注意点について考えてみたいと思います。
サーバースペックを甘くみるなかれ
CMSを導入し、積極的に更新してたくさんアクセスしてもらうのが目的なのですから、そのアクセスに見合ったサーバーが必要です。低価格な共用サーバーではなく、少なくともVPS以上、サイトの規模によっては、クラウドサーバーも視野にいれて検討すべきです。
サーバースペックが低いと、WordPressのように動的に生成しているCMSの場合、アクセスが集中すると表示されないと言うことになってしまいます。Movable Typeのような静的出力型のCMSでは、表示が重くなることはなくても、再構築に時間がかかるということになります。
CMSの種類や、想定されるアクセス数を念頭に、余裕のあるサーバー選びをしておく必要があります。
保守についてしっかりと契約しておこう
CMSは定期的に、セキュリティアップデートがあります。種類によって、マイナーバージョンアップは自動アップデート機能がついているものありますが、それに安心してはいけません。本体のアップデートにプラグインがついていけず、自動アップデートをしたおかげで管理画面にエラーメッセージの嵐というのは良くある光景です。
開発用サーバーを用意し、そちらでまずアップデート作業を行い、不具合が発生しないことを確認してから、本番サーバーを更新すべきです。そのためには、CMSの開発を担当した会社と、継続的な保守契約と、アップデート時の費用等について、発注前にきちんと相談しておくべきです。
商用CMSであれば、ベンダーのサポート契約もあり、万一のときにも安心できますが、オープンソースは、巷の情報にムラがあり、責任者がいないので、開発会社に全面的に頼ることになります。その点も考慮して、商用CMSを選ぶのか、オープンソースを選ぶのかを決める必要があります。
開発時の仕様は、きちんとドキュメントとして記録しておこう
導入したプラグイン、追加したカスタムフィールド、テンプレートのモジュール化などは、あとからCMSを改修しようとしたときに、なんのために導入して、どこで動作しているかがわからなくなる事がままあります。面倒でも、メモでもよいので、これらの導入経緯と、動作している個所について、まとめておいたほうが、のちのち役に立ちます。
導入時にインストールしたものの、結局使われなかったプラグインなどが、動作を緩慢にしているケースはままあります。そういったものを定期的に整理できると、CMSの運用がスムーズになります。また、改修したい個所がどのモジュールに記述されているのかがわからないというケースもあります。各モジュールがどのテンプレートから読み出されているのかがメモとして残っていると、探しやすいかと思います。
サイトの構成と規模にあったCMSを選択しよう
大規模サイトの構築に、WordPressを選択し、各テーマの整理にカテゴリーを使ったために、カテゴリー欄に大量のカテゴリーが並んでしまい、選択が大変という案件を聞いたことがあります。カテゴリーを使うのではなく、カスタム投稿タイプを使う、ブログが複数つかえるMovable Typeを選択するなど、設計段階でのCMSの設計、選択は重要です。最終的にどの程度までサイトが拡充されるのか、近い将来追加されるコンテンツやカテゴリーはあるのか等、要件定義の段階で詳細を詰めて設計をしないといけません。
コンテンツ更新の責任者とワークフローを明確にしよう
セミナー情報のお知らせといったシンプルな更新から、がっつりオウンドメディアの展開まで、各社それぞれのスタンスでコンテンツを更新していくことになると思います。これらのコンテンツをだれの責任で更新するのか明確にしておく必要があります。セミナー情報であれば、広報の担当者であるとか、オウンドメディアであれば編集長といった役職のひとが考えられます。原稿をどの段階で決裁者に確認をとるのか、お問い合わせがあったらどのようなルートで対応するのか等、一通りのシミュレーションをしておきましょう。CMSにワークフロー機能があれば、その活用ルール作りも重要です。
導入後の教育コスト、運用マニュアルの制作コストを見込んでおこう
初期の見積もりで、見落としがちなのが、導入後の教育コスト、運用マニュアルの制作コストです。ハンズオンセミナー形式で、更新方法を一通り教わったり、運用に即したマニュアルの制作を作ってもらたりが必要になります。セミナーはそのシナリオ作りに手間がかかりますし、運用マニュアルもスクリーンショットをたくさんとって、管理画面と公開画面の対比図をつくるので、制作には手間がかかります。当然コストもそれなりに必要です。開発前にこれらのコストについても理解をしておく必要があるでしょう。
まとめ
今回は、CMS導入にあたって、注意すべき点についてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?どうしてもサイト構成や開発の内容に目が行きがちですが、こういった周辺の事項についてもしっかり開発先と相談して詰めておく必要があります。
CMSはけっして、魔法の杖ではありません。正しく運用されたとき、初めてその効果がでます。そのためにも、こういった周辺の事項についてもしっかり検討しておきましょう。
(担当:小山智久)