少し大きなウェブサイト作り。どこから手をつける?

小さなホームページ作りについては、「初めてのホームページ作成依頼、最初の一歩から」で記事にまとめましたが、少し大きなホームページの場合はどうすれば良いのでしょうか。

関連する部署がいくつもあり、ページ数も数百を超える場合を考えてみました。

まずは各部署の要望をすくい上げる。

ホームページ制作委員会などの組織を作り、各部署から1,2名出してもらいます。ここで各部署の要望を聞いてまとめます。「うちはそんなに更新しない」「いやうちは、どんどん情報を発信していきたい」「承認公開の仕組みをいれて欲しい」などなどです。

RFPを作成して、コンペを行う

要望をまとめて、RFP(Request For Proposal 提案依頼書)にまとめます。委員会で出た要望以外に、サーバー要件、公開後の保守要件など、ウェブサイトに希望する要件を洗い出してまとめます。

このRFPを書くのが結構難しく、苦労されることが多いです。場合によっては、RFPだけを外注するということも考えられます。RFPを書いた会社は、その後のコンペに参加できないという条件付きです。弊社もこのような経験があります。

コンペは、RFPに基づいて、各社にサイトの構成や、CMSの提案、サーバーの提案などを、プレゼンしてもらいます。このコンペの結果、発注する業者を選定することになります。

業者が決めったら、まず契約

守秘義務契約書、業務委託契約書といった、基本の契約書を交わし、プロジェクトにコミットメントしてもらいます。支払い条件などもここで決めます。

業務要件にあった、コンサルを受ける

ここからは、業者と2人3脚での作業です。RFPの要望に、旧サイトの分析と、改善点の提案が含まれている場合、改善点とともに、新サイトの提案を再度受けます。そしてペルソナの設定、カスタマージャーニーマップなど、これからウェブサイトを作りっていくのによりどころとなるものを作ります。

新サイトの骨格を作る

まずはコンテンツインベントリとして、ハイレベルサイトマップ、コンテンツリストを作成します。これらは、サイト構成を明確にして、どのようなコンテンツが掲載されるのかを、一覧にしたものです。できたら、漏れ抜けがないか確認します。この段階で、CMSで更新するところを、明快にしておくと、あとの構築が楽になります。

ページの画面構成を検討するワイヤーフレームで主要ページを作成し、ページ内に掲載されるコンテンツを明確にします。またレイアウトも合わせて検討します。ワイヤーフレームはスマホ用も作成します。

ビジュアルデザインを検討するワイヤーフレームを作ったページから、数ページを本番同様のビジュアルデザインを画像で作成します。ここで始めて新しいウェブサイトのデザインが出来上がるのです。事前に希望するデザインのイメージを伝えておいて作成を依頼します。ワイヤーフレームでレイアウトは決めているので、ここでは色調や文字の大きさ、イメージ写真といったところが検討すべきところになります。

コンテンツを作る

ウェブサイトで最も重要なもの”コンテンツ”。サイト構成にあわせて、必要な文章を書いたり、写真素材を集めたりします。社長さんのように忙しい方には、インタビューをおこなって、原稿はこちらで用意するような工夫が必要です。

コーディングを行う

デザインに特徴のあるページは、デザインデータを作成し、残りはワイヤーフレームを元に、コーディングを行います。あわせて、jQuery等でアニメーション表現を行う場合は、そのスクリプトの実装を行います。またスマホ向けに、レスポンシブウェブデザイン(RWD)などでコーディングを進めていきます。スタイルガイドとよばれる、サイトに出てくる全要素を1画面にまとめたものを作成し、各画面でズレがないように作成していきます。完成したら、CMS実装前に一度プレビューを行います。一般的にコーディングは専門の業者が作業を行う場合が多いです。

サーバーの設定を行う

サーバーの基本設定を行います。あわせてCMSのインストールも行います。昨今、クラウドサーバーを使う場合も多くなり、それにあった設定が必要です。CMSがすでに入っているクラウドサーバーもあり、その場合はインストール作業や、バージョンアップ作業が不要になるので、便利です。ただしその場合、メールサーバーを別途用意する必要があるので、アカウントの移行作業などが必要になります。

CMSのテンプレート開発を行う

コーディング作業でできたHTMLファイルを元に、CMSのテンプレートを作成します。昨今は、コンテンツに合わせて、入力欄を作成する形になってきていますので、まずはコンテンツの内容別に入力欄を作成し、テンプレートにそれを呼び出すタグを記述してゆきます。一般にCMSの実装は専門の業者が行う場合が多いですが、コーディング会社が行う場合もあります。

CMSにユーザーを登録する

CMSの実装がほぼ完了し、動作確認が終わったら、実際に使う方々の登録を行います。メールアドレスとパスワードを用意して、登録画面から登録します。数が多い場合はインポートすることもできる場合が多いです。登録したら、権限設定して、投稿する人、承認する人をわけて登録します。登録が終わったら、承認機能に不具合がないか、テスト投稿をして確認します。ユーザー登録作業はお客様作業になる場合もあります。

コンテンツを登録する

CMSの実装がおわったら、出来たコンテンツをCMSに登録してゆきます。通常、投稿の練習を兼ねて、お客様作業になることが多いです。

ウェブサイトを公開する

比較的大きなサイトの場合、DNSの切り替えで公開となるケースが多いです。開発中のドメインはどうするかなど、事前に打ち合わせしておき、サーバー設定の時に、設定しましょう。開発用ドメインから、本番用ドメインに切り替えて公開です。

保守とサポート

まず公開時までに、CMSのマニュアルを、実装を担当した会社が作成する必要があります。その後適宜メール等でヘルプデスクを行う形になります。CMSのアップデートは、クラウド版の場合は自動で反映されますが、自社サーバーにインストールしている場合は、アップデート作業が必要です。アップデート作業の手順、費用など事前に決めておいた方が良いでしょう。

要望によっては、毎月のログ解析のレポートと助言、広告の効果測定などを求められることもあるでしょう。ウェブサイトの運営はPDCAのサイクルを回すことが重要です。そのためにはウェブマーケティングの知識が求められることもあるでしょう。

まとめ

専門的な用語が出てきましたが、やっていることは小さなサイトの時と、大きく変わりません。サイトの構成を決め、ビジュアルデザインを決め、コーディング、CMSテンプレート、公開、保守と、サイトのサイズが変わっても、関わる人の人数が増えるだけです。1000ページを超えるもっと巨大サイトの構築の場合、サイト構成の検討のところとか、もっと専門的な人が対応すると思われますが、流れは同じかなと思います。

今回はお客様(ウェブ担当者)に向けて書きましたが、業者によっては異なるワークフローを取っているところもあると思います。コンペで採用した業者と、仕事の流れをよく打ち合わせして進めていってください。

[文:小山智久]