今さら聞けない、グロースハックってどんなもの?

とある勉強会で、講師の方と名刺を交換したところ、肩書きが、グロースハッカーとなっていました。別の日、知り合いのWeb制作会社の求人募集ページを見ていたところ、UXデザイナー(グロースハッカー)募集となっていました。さらにコンサル系のWeb制作会社は、「グロースハックのみの受注も行っています」と書かれていました。このグロースハック、そしてそれを行うグロースハッカーってどんな仕事なのでしょうか?まさに今さら聞けない感がありますが、これだけ需要の高い職種でもあるグロースハッカーについて、ご紹介したいと思います。

グロースハックとはそもそも何なのか

Facebook、Twitter、Dropbox、Airbnb…いまでは有名なサービスが、ここまで成長した要因はなんでしょうか?その影にグロースハックがあると言われています。ではそのグロースハックとはいったい何なのでしょうか?

ウェブ上ではいろいろとその定義が書かれているページがありますが、どれもピンときません。読み解くと次のような仕事のようです。「マーケティングで得た数字やユーザーの声をもとに、システムを高速に改修してユーザーの数や質を成長させる仕組みを組み込み、プロダクトやサービスを成長させること」すなわち、マーケターとエンジニア両方のスキルを持つ個人、またはチームをグロースハッカーと呼ぶようです。

マーケター×エンジニアという定義が多かったのですが、フォームの改善といったUXの改善も多いように思います。個人的には、グロースハッカーにはUXデザイナーのスキルも必要だと思います。ここまでくるともうスーパーマンですね。

グロースハック、3つのポイント

グロースハックを行うにあたって、頭に置いておいた方がいいポイントが3つほどあります。

まず第1に、マーケティング視点になりがちな改善施策が、プロダクトやサービスの改修まで含めて視点を向いているということです。グロースハックでは、サービスやプロダクト自体をユーザーにあわせて変えていく(ハックする)ことを明確にしています。

第2に、グロースハックの「グロース」の部分が、グロースハックのゴールとなっていることです。成長してなんぼということです。

第3に、仮説検証に重きを置かれていることです。マーケティングであがってきたデーターから、改善すべき仮説をたて、それを実施するという流れです。特にユーザーの声やログデーターを大切にします。

このような点を大切にしながら、「仮説」→「検証」→「改善」を高速で回転させることになります。

強力なフレームワーク、AARRR

グロースハックといえば、AARRRと言われるぐらい有名なフレームワークです。米国の500 StartupsというベンチャーキャピタルのDave McClure氏が提唱したフレームワークです。新規ユーザーの獲得から、そのユーザーが収益に貢献するに至るまでの成長サイクルを体系化したもので、ユーザーの成長を促進することが事業の成長につなげられるという考えのもと、構築されたモデルです。読み方は「ア−」で、海賊の叫び声を模していることからPirate Metrics(海賊指標)とも呼ばれています。

aarrr.png

出典:https://blog.pusher.com/web-marketing-for-developers-modelling-customer-behaviour/

それぞれ、以下のような邦訳になります。

1.Acquisition(ユーザー獲得:登録や訪問など)
2.Activation(ユーザー活性化:初めての利用でユーザーにプロダクトを面白い!と感じてもらう)
3.Retention(継続:ユーザーが繰り返しサービスを使うようにする)
4.Referral(紹介:ユーザーがサービスを周りに紹介するようにする)
5.Revenue(収益:ユーザーがより多く課金行動を取るようにする)

1と4がユーザーの量、2と4が、ユーザーの質に寄与する成長指標になっています。最終的に5で、売り上げを獲得して収益につなげていく形になっています。各ポイントを分析して、重要な部分をKGI(施策のゴールになる評価指標)と定め、モニタリングすべき指標をKPI(施策の中間評価指標)と設定し、成長のボトルネックになっているところを探し解消します。このフレームワークを駆使して、グロースハックを行っていくわけです。

グロースハックをやってみよう。

グロースハックのフレームワークも理解したことだし、早速グロースハックをしてみたいと思います。その前に確認事項があります。それは、Product-market-fitが、40%を超えていること。Product-market-fitとは「良い市場を狙っていて、かつ、その市場を満足させることができる製品を持っている状態」のこと。

実際には、Product-market-fitを測る方法としては、 ターゲット層に特定の質問をし、その返答を持って測るというのが一般的です。つまり、「そのプロダクトがなくなると心底困る人がユーザーに占める割合」でもってProduct-market-fitを測るのです。

これが40%以上ないと、いくらグロースハックをしても無駄です。これが40%を下回っているフェーズでは、Lean UXなどの手法を使って、マーケット、ターゲット、プロダクト等の軸をピポッドしながら、Product-market-fitの向上をめざしていくことになります。

それでは、Product-market-fitが40%を超えていると仮定してグロースハックをやってみましょう。

1.ファネルを可視化する

 ファネルとは漏斗のこと。段階を経る毎にユーザーが減っていく様が似ているので、マーケティングの世界で使われるようになりました。AARRRの各ステップ、登録フロー、継続フェーズでの離脱などを中心に、ファネルに書き出してみましょう。

 2.改善感度の優先付け

 インパクトの大きいものから順から優先順位を付け、着手しましょう。

3.仮説リストアップ

 改善すべきところが見つかったら、次は仮説リストアップに移りましょう。改善すべき課題を探しだし、その原因を仮説としてリストアップします。何がユーザーに苦痛を与えているのか、ユーザーヒアリングやデーター分析をもとにチームでディスカッションして作ります。

4.施策リストアップ

仮説がリストアップできたら、影響力の高いものから順に、番号を付けましょう。そして、インパクトが大きく、工数の少ないものから高速で施策を実施しましょう。1番を実施して手応えがないようだったら、すぐ2番を実施するなど、仮説に対して同様のステップを踏みましょう。

5.仮説・実験・学習

仮説→実験(施策実行)に学習を加えたサイクルで高速にまわします。

6.レバレッジを見つける

レバレッジとはてこの原理のことです。小さな施策を実施すると、大きな変化がある場合、”レバレッジが効いた”と言います。グロースハックに成功している企業は、このレバレッジをうまく活用しています。上記のステップを踏む段階で、「この部分を改善すると、全体の数値も向上するぞ」というレバレッジを早期に発見し、そこに力をいれて実施していけるようにしましょう。

まとめ

今回は、グロースハックってなにという、僕のような人に向けて、グロースハック、グロースハッカーについて簡単にまとめてみました。まだまだグロースハックのチームの作り方や、AARRRとKPIの決め方など学ぶ必要はあります。ネットには、今回参考にしたサイト以外にも、グロースハックについてまとめているサイトがたくさんありますので参考にしてください。

参考サイト

グロースハックとは何か 〜グロースハックをマスターするための究極のガイド〜http://growthhack.vasily.jp/2014/05/ultimate-guide-for-growthhack/

最近流行りのグロースハックって何?
https://dentsu-ho.com/articles/2453

(担当 小山智久)