弊社がオウンドメディアを始めたのが、去年の10月。その頃には、すでに猫も杓子もオウンドメディアに参入していました。弊社も流行り物に乗った形になってしまいましたが、社内に編集部門を持つ弊社としては、いろいろ言いたいこともあり、参入しないわけにはいかないだろうという判断でエイヤーと見切り発車的に始めました。
はじめて半年がたとうとしていますが、のき並ぶ成功事例のように、膨大なアクセスがあるわけではなく、地道に着実にすすめています。そんな弱小サイトでもじわりじわりのアクセス数が増えているのは事実、箱根駅伝でたとえると、最後の上り山道の第5区にはいったところ。ネタも尽きてきて、一歩一歩進むのが精一杯ですが、こんなときに、途中でやめたら、いままでの努力が水の泡となります。ここで、オウンドメディアの失敗事例にならないように、先行する失敗例に学んでみたいと思います。
失敗1.始める前から凝ったオウンドメディアを作ろうとしてなかなか始められない。
以外とあるあるなのですが、サイト名はどうする、ロゴはどうする、ソーシャルメディアの連携もいるよね。関連ページの紹介もいるよね、そもそもデザインはどうすると、形からはいってしまって、なかなかオウンドメディアの記事発信が始められない人たちがいます。そういう人たちにかぎって、完成したときには力尽きて、肝心の更新がとまってしまうのです。
オウンドメディアは、まず始めることが基本。デザインやソーシャルメディアとの連携などは、初めながら、改良していけばよいのです。企画してスタートまで2週間。これが基本です。
このオウンドメディアも、始めた当初は、アイキャッチ画像も、ソーシャルメディア連携も、ランキングもありませんでした。それらは記事の数があつまってきたところで、順番に実装していきました。
あなたのサイトに、更新のとまったブログがありませんか?あれば、そこをつかってオウンドメディアにしてしまえばよいのです。かくいうこのオウンドメディアももとはといえば更新のとまったブログでした。ブログは「自分語り」な側面があり、作ったのはいいものの気恥ずかしさもあって、なかなか更新できない事ってありますよね。であれば、そこをオウンドメディアにかえればよいのです。「ブログ」という名のオウンドメディアは数多くありますよ。
失敗2.更新が100記事に到達するまでに止まってしまっている。
オウンドメディアは、長距離走です。地道な更新とそれによって蓄積された記事の数がすべてです。始めた当初は、勢いにのって更新したものの、すぐにネタに尽きて、更新がおろそかになっていないでしょうか。
成功事例として有名な、サイボウズ式は500記事近く、LIGにいたっては3000記事以上もの数が公開されていると言われています。まずは、最低100記事を公開するのが、一番の目標です。むしろそこから始まると言っても過言ではありません。まずは半年から1年、地道に更新するしかありません。
はじめて3ヶ月目あたりからが、結構苦しいと思います。当初考えていた記事のネタもつき、当初ご祝儀でアクセスしてくれていた知人もアクセスしなくなり、アクセス数が思う様に伸び悩み、記事を書くのも苦痛になってきます。でも頑張って下さい。更新した記事は、着実に検索される資産として定着していきます。
苦しいときは初心にかえって、記事のネタだしに力をいれましょう。考えた言葉を、SEOキーワードとしてタイトルに含めるのにふさわしいかを調べてタイトルを作ります。タイトルをエディトリアルカレンダーに記載して公開予定を記し、順次記事にしてゆきます。半月から1月分前倒しで記事が用意できていれば、精神的にも余裕がもてると思います。記事更新がおろそかにならないよう、毎週何曜日には更新するなど、決めておいた方が、怠け癖とおさらばできるでしょう。
失敗3.誰に向けて書いた記事かわからない。
ついつい僕もやっちゃうのですが、文章を書いている途中で、書いている相手がかわってしまう失敗をよくやります。1記事、1テーマ、1読者(ペルソナ)が原則ですから、書いている時に常に読者を意識して書くように心がけましょう。
オウンドメディア自体に、複数のペルソナがいることは、事業が複数にまたがる場合、致し方ないと思います。しかし、どうしてもサイトのピントがぼけてしまう欠点があります。その場合、一つひとつの記事自体は、キチンと特定のペルソナに向けて書くように心がけることで、少なくとも記事を読んでいる読者が悩まないようにしましょう。
多くの読者は、検索サイトで検索して、記事にたどり着いたと思います。検索サイトで検索するということは、なにがしかの疑問、質問があったということです。そして検索結果から、その答えを述べているであろうサイトをクリックして、到達したわけです。それに答えるには、検索キーワードの答えが、記事に含まれていなければなりません。検索キーワードと記事の関係は、質問と答えの関係なのです。
SEOキーワードを、キーワードプランナーなどで調べるとき、この段階で質問をしている読者(ペルソナ)がどのような「答え」を求めているのか、よく考えて記事の構想をまとめていく必要があります。
失敗4.自社の宣伝が多すぎる。
オウンドメディアは「メディア」です。マスメディアではないですが、オウンドメディアもメディアである以上、ある程度の客観性が求められます。検索して答えを求めてやってきた読者も、自社の宣伝だらけだと、興ざめしてしまいます。そこでは、客観的な「答え」となる記事が求められるのです。
文末に、問い合わせやメルマガ登録のようなCTA(コール・ツー・アクション)を設置したり、CTAへ誘導したりする文章を少し書くぐらいは大目にみることはできるでしょう。しかし、文章の最初からあきらかに自社商品の宣伝であったり、あきらさまに、会員登録などへの誘導があったりすると、読者は記事の正しさを疑ってしまいます。メディアとしては、競合他社の商品を紹介するぐらいの度量があってもいいぐらいです。
オウンドメディアでは、自社の宣伝は控えめに、客観的な記事を発信するよう心がけましょう。そうしないと、読者のほうから離れて行ってしまいます。
失敗5.運営体制に無理がある。
オウンドメディアは、結果がでるのに時間がかかるため、比較的に少人数で始める場合が多いと思います。選任1名の兼任1名で、1.5人体制はまだよいほうで、兼任1名の0.5人体制で運営しているメディアも多いと聞きます。
しかし、それで良い記事が書けるでしょうか?編集長自ら一人でネタだしに苦しみ、記事を書いているのであれば、バラエティに富んだ記事を提供するのは難しいです。成功している大手のオウンドメディアは、複数の専任スタッフはもちろん、外部スタッフも器用して、さまざまな読者に対応できるような体制になっているところがほとんどです。
とはいえ、お家の事情もあり、無い物ねだりはできません。その場合は、兼任スタッフを広く社内に求めていく作戦をおすすめします。オウンドメディアの記事を書いてくれそうな人と言えば、
- 広報担当
- カスタマサポート担当
- 商品開発
- 営業
- 人事
こういった職種のひとたちは、外部のひとと顔を合わせる事が多かったり、独自の知見をもっていたりしますので、オウンドメディアのネタとなる種を沢山お持ちです。彼らに声を掛けて、定期的に記事を書いてもらうよう協力を要請するとよいでしょう。
それでも更新が続かない場合は、予算はかかりますが、外部ライターの起用も考えられます。その場合でも、記事のネタづくりは自分達の仕事ですので、常にネタ探しをする癖を身につけておきましょう。
失敗6.SEOを無視しすぎている。
SEOはコンテンツ重視だと息巻いても、検索キーワードの含まれてないタイトルや、見出しと本文の構造がむちゃくちゃなサイトは検索されることはありません。SNSからの流入はふえましたが、いまだに50%以上は検索からの流入です。その為には、タイトルが検索結果の上位に表示され、読者にクリックしてもらわないといけません。
先ほど、検索キーワードと記事の関係は、質問と答えの関係であると書きましたが、まずは検索されるように、検索キーワード(=質問)が含まれているタイトルを作る必要があります。その時、検索キーワードだけでは、ビックワードとなってしまい、上位表示が難しい場合、組み合わされる言葉を調べ、その組み合わせで検索されたとき、上位に表示されるようにします。このような検索キーワードの調査をくり返しおこなって、タイトルを作るのです。
その方法の詳細は、過去の記事で述べていますので参考にして下さい。
SNSでの拡散を社員にお願いするという方法もありますが、個人のアカウントで拡散できる範囲は知れています。SEOでの拡散が難しいと考えられる場合、むしろ、広告出稿を検討すべきです。TwitterやFacebookのポストに、数百円から数千円程度の極小費用をかけ、拡散したい記事を広告出稿します。こうやって得られたリーチから、流入を得ていくほうが確実です。オウンドメディアだから広告費をかけないという思い込みから離れることが必要です。
最後に
今回は、オウンドメディアが確実に失敗する6個の理由を考えてみました。自社のオウンドメディアもまだ100記事手前(この記事が公開されて78記事目の予定)スタートダッシュは、始める事を優先したのでうまくいきましたが、誰に向けて書いているのか悩んだり、記事のネタだしにも常に苦しめられています。まさに自分が失敗しないよう書いたような記事ですが、自分と同じ思いのオウンドメディア担当者もどこかにいると思います。今回の記事を参考に、お互い失敗しないよう、まずは100記事、そしてその先をめざしてがんばりましょう。
(担当:小山智久)