今さら聞けないキュレーションサイトってなに

記事のチェックが甘かったということで、DeNAが運営する医療系キュレーションメディアWELQ(ウェルク)が2016年11月29日に一時閉鎖になりました。同様の措置が他社のサイトでも行われているようです。そもそもキュレーションサイト(キュレーションメディア)ってなんでしょう。もともと美術の世界で使われていたキュレーションという言葉、美術館の企画展などを企画する人をキュレーターと呼んでいましたが、キュレーションサイトではどのような意味で使われているのでしょうか。調べてみました。

キュレーションサイトとは、ひとことで言えば「まとめサイト」です。あるテーマに基づいてインターネット上から情報を収集、取捨選択し、再編集を行って新しい価値を持たせる、そういったサイトを言います。ネット検索しても情報が膨大にあり、情報の洪水に飲み込まれそうな今、知りたいテーマにあった情報やサイトを事前にまとめてくれるサイトはありがたい存在とも言えます。

多くのキュレーションサイトは、その情報で読者を集め、ネイティブ広告※から収益を上げているものが多いようです。この数年であっというまに、相当数のキュレーションサイトが乱立するようになりました。

キュレーションサイトの分類

さまざまなキュレーションサイトですが、そのキュレーションの仕方に差があります。大きくは次の3つに分類されます。

  1. 機械(プログラム)が自動的にキュレーション(情報収集)しているサイト
  2. その分野に詳しい人間がキュレーションしているサイト
  3. ユーザーが投稿で、外部サイトの記事を引用する形で情報をまとめているサイト

それぞれに解説しましょう。

1.機械がキュレーションをしているサイト

 大手キュレーションサイトの多くがこの形式です。具体的には、

などを指します。それぞれのサイトが人工知能を駆使して独自のアルゴリズムでサイトを分析し、用意されたカテゴリーに情報を整理します。このアルゴリズムの出来がサイトの優劣を決めるともいってもいいでしょう。スマホに特化したサービスが多いのも特徴です。

2.その分野に詳しい人間がキュレーションしているサイト

逆に人海戦術でキュレーションしているサイトです。比較的、テーマを絞っているサイトが多いのが特徴です。具体的には

などです。今回問題があったWELQ(ウェルク)もこのカテゴリーに入ります。基本的にはライターが原稿を書き、ディレクターが確認を行う 2人3脚で原稿を作っていきます。

3.ユーザーが投稿で、外部サイトの記事を引用する形で情報をまとめているサイト

読者自ら、投稿によってあるテーマのサイトを引用してまとめるサイトです。具体的には「NAVERまとめ」がダントツで有名ですが、同様のサイトがどんどんできていて乱立気味です。うえ2つのキュレーションサイトより参入しやすく、運営リソースも少なくて済むからだと思われます。

キュレーションサイトの明かりと闇

読者に有益な情報をあつめてきてくれる、便利なキュレーションサイトですが、いくつか良い面と問題点もあります。整理してみましょう。

読者を誘導してきてくれる

キュレーションされた側からすると、キュレーションサイトから読者が訪ねてきてくれるわけですから、検索エンジンに加えて新たな送客ルートができることになります。ただし、そのためにはキュレーションサイトに掲載されるだけの質の高いコンテンツを作る必要があります。年々競合は増えていますので、掲載される敷居は結構高いです。

引用と著作権

ニュースソース側と契約の上、情報を取得表示していれば問題ないのですが、まとめサイトなどの場合、引用と著作権のグレーゾーンがあります。引用先を明記して、改編なく表記するのであれば問題ないのですが、引用先がない、記事を改編しているなどは問題になります。

ライター(キュレーター)の質と原稿料

人海戦術でのコンテンツ作りの場合、まずたくさんの原稿が必要になり、外部に委託する場合、必然的に原稿料が問題になります。そのためライターはWebライターと言われる1文字数銭円でも書くようなクラスのライターを使うことが多いです。問題はその質です。低価格で発注している以上、ライター経験の浅い人や与えられたカテゴリーに詳しくない人をアテンドせざるを得ないという問題があります。調査や取材費用なども用意されていないため、既存の情報から記事を作成するということが普通になり、これがコピペ原稿であったり、事実と異なる情報を引用してしまったりということにつながっています。

編集者の質

機械収集の場合は、どのようにコンテンツの品質担保を行っているのか分からないのですが、キュレーションサイトだとしても、発信者なので、コンテンツの品質担保ができてないといけません。担当しているカテゴリーに対して、編集者がちゃんとジャッジできる能力のある方がやっているのかという問題があります。左から来た原稿を右に送るだけでは、キュレーションの意味がありません。
そもそも冒頭に示したWELQ(ウェルク)の場合、この編集者がいなかったようです。

個人的には、ライターは文章を書くことに専念し、ディレクターは配信管理を行い、編集者の役割を持つ人が、コンテンツのキュレーションと、品質について担保するようになっていればよいのですが、多くのキュレーションメディアでは、この編集者の役割を持つ人の存在がないところが多いようです。


キュレーションサイトの分類と、その利点と問題点をまとめてみました。電車の中で、指ひとつで、スマホにニュースを集めてくれるキュレーションサイトは、トレンドを追いかけるのにも、ちょっとしたノウハウを押さえるのにもとても便利です。

 その為にも、良いキュレーションをしてもらいたいですね。このサイトもトイロハというキュレーションサイトに記事を配信することになりました。他のキュレーションサイトにも掲載されるように良質なコンテンツを提供できればと考えています。

 ※コンテンツの側に表示される、記事の体裁をした広告

参考サイト:キュレーションメディアとは?3分類できるキュレーションメディア!

 (担当:小山智久)