「夜中にラブレターを書いてはいけない」といいます。それが夜中だからなのか、ただ自分の中でヒートアップしているからか。後で読み返すと穴を掘って埋めたくなるような文面だったという経験のある人もいるかもしれません。同じように、原稿も書き上げてOK!と思ってそのまま配信すると、あとで「しまった!」と思うことも。そこで必要なのが「素読み」と「推敲」です。
客観的に文章を読み返す「素読み」
原稿校正の方法についてはこのブログでも「あなたの記事の誤字脱字を防ぐために、校正ツールを活用する!」、「校正と校閲、違いはなあに?」などで紹介してきましたが、文字校正の前に行うといいのが「素読み」です。
「素読み」とは 、書物の意味・内容を考えないで、ただ機械的に文字を音読すること、もしくは原稿と引き合わせながらではなく、校正刷りを読みながら校正すること、とあります(小学館「日本国語大辞典」より)。
ここでいう「素読み」のススメは前者。文字の修正をすることを意識せず、書き上げた原稿を、一度声に出して読んでみることです。声に出して読むと、以外に言い回しのおかしいところや、この文章と文章のつなぎが変だなということに気が付きます。
もし原稿を読んでくれるスタッフがいたら「とにかく修正関係なしに一読してみて」とお願いしてもいいでしょう。弊社はこのブログを二人体制で運営しているので、互いの文章は必ず目を通してもらうようにしています。
まわりにスタッフがいない、また自分で声を出して読むのがちょっと気恥しい(特に会社だったら尚のこと)という場合は、Windows OSでは標準でついている読み上げ機能「ナレーター」、Macでも音声入力と読み上げ機能「VoiceOver」が標準でついているので、それを利用するという方法もあります。
ナレーターでテキストを読み上げる
https://support.microsoft.com/ja-jp/help/14234/windows-hear-text-read-aloud-with-narrator
Apple のアクセシビリティ:VoiceOver スタートアップガイドhttps://help.apple.com/voiceover/info/guide/10.12/
必要なのは自分の書いた文章を客観的にとらえることができるかです。書いた文章を自分で読み返しても、内容が頭に入っているためか、なかなか間違いにきづきませんが、人の目を通すとおかしいところに気づくことがあります。
同じように耳から聞くと、目から入ってくる情報とはまた違う”入力源”だからか、引っかかる部分に気づきやすいのです。
素読みをしたら次に「推敲」を
素読みで客観的に文章を確認することができたら、次に推敲です。
推敲は校正と混同されがちですが、校正はあくまでも誤字・脱字など文字の間違いなどがないかを見つけ修正する作業をいいます。いっぽう、推敲はそもそも中国のこんな故事からできた言葉です。
「唐の詩人賈島(かとう)が 「僧推月下門」の句を作ったさいに「推(お)ス」を「敲(たた)ク」に改めた方が良いか苦慮して、名文家の韓愈(かんゆ)に問い、「敲」の字に改めた」
このことから、とにかく自分の文章について熟慮に熟慮を重ね、より良くするために練り直すことを推敲というようになりました。文章をブラッシュアップするという言い方もしますが、同じような意味合いでしょう。
「推敲」で気を付けること
素読みの前に何度も自分で文章読み返して推敲することもあるでしょう。何度も読み返し、文章を練り直すとなると、いつフィニッシュさせるか、なかなかケリがつかないこともありますが、以下の5つのポイントがクリアできたらOKと基準を設けておくとよいと思います。
- 想定したテーマが外れていないか
- 読み手となるターゲット層に向けた内容になっているか
- 文章が論理破たんしていないか(矛盾した文章になっていないか)
- 同じような文章が繰り返されていないか
- 読みやすい文章になっているか(専門用語が多用されていないか)
またこれらの作業を行うには、いったん書いた原稿から「離れる」ことも大切です。
できれば一晩おくことがいいのですが、時間がないようだったら、コーヒーを一杯(できれば自席から離れて)飲むなど、執筆でヒートアップした頭をいったん冷ましたほうが、改めて自分の書いた文章に客観的に向き合えます。
推敲は文章の質をあげるうえでも、校正・校閲と並ぶ大事な作業です。
これでいいと思わずに、もう一度、という気持ちと余裕をもって作業にあたると文章のスキルアップにもつながると思います。
(担当:村山ひでこ)