望遠は背景をぼかすために、広角は全体にピントを合わせたい時に使う…だけじゃない

「写真を一番失敗する原因、ピンぼけと手ぶれを直す。おまけにフードの話も」で写真の話というかカメラの話をしましたが、思いのほか好評なので、同じ様な話をしたいと思います。

実は、ボク、20歳頃カメラマンだった時代があるんです。今と違って、フィルム全盛の時代で、中型カメラや大型カメラをかついで、建物の外観を撮ったり、百貨店の店内を撮ったりしていました。大型スタジオで、天井からバスルームの撮影をしたりとかも。

35mmフルサイズのカメラで撮影する機会はあまりなく、唯一といえば、マンションの周囲にどんな施設があるか、スナップしてくる仕事がありました。車を走らせ、三浦半島を中心にいろんな場所を撮影した記憶があります。

さて今回は、レンズについてです。一眼レフの特徴といえば、レンズが交換できること。交換できるということは、使うレンズによって、写る写真が異なるということです。レンズを変えることによってどんな写真がとれるのか、解説しましょう。

ボクはフィルム時代の知識しかないので、レンズの焦点距離もフルサイズの感覚しかありません。この記事ではレンズの長さに関することも記載していますが、それはフルサイズのものと考えて下さい。マイクロフォーサーズの人は1/2倍して、APS-Cの人は2/3倍して換算してください。

望遠レンズ

望遠レンズとは、70mm〜135mmぐらいの中望遠から、200〜300mmぐらいのレンズを言います。それより長いレンズは超望遠レンズといっていいでしょう。そんな望遠レンズの特徴は次のとおりです。

被写界深度(ピントの合う範囲)が浅い

望遠レンズで有名な写真といえば、グラビアアイドルを手前に立たせて、海岸線や深緑の背景をぼかした写真でしょう。「サンニッパ」の愛称でよばれる、300mm/f2.8のレンズを使って撮影されていました。ピントの合う範囲が狭いことを利用して、モデルだけにピントをあわせ、背景をぼかして撮影していたわけです。サンニッパは手持ちで撮影できて、カメラマンとモデルが会話できる距離で、なおかつ、綺麗なボケが写せるということで、アイドルカメラマン常用のレンズとして有名です。結構いい値段のレンズですが、アマチュアでもその趣味の人は持っている人たちがいます。

遠近感を圧縮する

奥の被写体を手前に引き寄せますので、遠近感を圧縮して、塊感のある絵を撮ることが出来ます。例えば、並木道などを望遠レンズで撮ると、木々が押し寄せるような絵を撮すことができます。車の撮影では、車は塊として撮すため、低い位置から望遠レンズで撮影することが基本です。ちょっと難しいですが、この効果をつかえるようになると、望遠レンズの幅が広がります。

遠くの物を切り取る

望遠レンズの効果として一番わかりやすいのはこれです。画角が狭いので、狙った場所をそこだけ撮すのには最適です。望遠鏡と同じですね。

手ぶれに弱い

画角が狭いことから、手ぶれに弱いです。必然的に、より高速のシャッタースピードが要求されます。

広角レンズ

広角レンズとは、20mm〜28mmぐらいのレンズを指します。それより広いレンズは超広角といってまた使い方が異なります。20mmは超広角に分類される場合もあります。そんな広角レンズの特徴は次のとおりです。

被写界深度が深い

被写界深度(ピントの合う範囲)が深いと、ある条件が重なると、ピント合わせをしないで写真がとれます。例えば、28mmのレンズで、絞りがf8、ピント位置3mにあわせると、約1.5m〜無限大までピントがあいます。スナップショットを得意とする写真家は、レンズをこのような設定にして、ノーファインダーでシャッターを切っていくわけです。このような状態をパンフォーカスといいます。

遠近感を誇張する

遠くのものはより遠くに、近くのものはより近くにうつるため、肉眼でみたより遠近感が誇張された絵が撮れる。その効果を生かして、住宅写真など、肉眼の印象より広く感じられるように撮影したりすることもあります。

近くのものが大きく写る

遠近感の誇張のもうひとつの効果として、近くのものが、より大きく近くにうつる効果があります。鼻がでかくデフォルメされた犬の写真に記憶はないでしょうか。これはまさに広角レンズの効果を生かした表現です。
ベッティナ・ランスと言う写真家は、女性の臀部を広角レンズで誇張して、よりエロティズムあふれる写真を撮っています。使いすぎは鼻につきますが、効果的に使うと、写真の世界がより広がると思います。

手ぶれに強い

画角が広いため、手ぶれの影響が少なく、シャッタースピードの設定に余裕を持たせることができます。

標準レンズ

望遠レンズ、広角レンズと、その特徴を見てきましたが、あと1つ残っています。標準レンズです。

標準レンズとは、諸説あり私見ですが、50mmを中心に、35mm〜60mm程度のレンズを指します。35mmは準広角に分類されることもありますが、画角から標準と考えてもよいのではと思います。人間が見ている世界と同じように写るというのが標準レンズの特徴です。

望遠、広角の特徴を脱ぎ去ったのが標準と言われる所以ですが、逆に撮影の仕方によっては望遠的な絵も、広角的な絵も撮れるので、標準に始まり標準に終わるというのはウソではないと思います。

実際使うときは、単焦点のレンズではなく、標準ズーム、望遠ズームなど、ズームレンズで使っている方がほとんどだと思います。望遠ズームなど、望遠の特長を生かそうとしても、レンズが暗く、背景が綺麗にぼけてくれないなど、ズームならではの弱点にぶつかっているのかもしれません。そんなときは、明るい標準の単焦点のレンズをぜひ試してみてください。写真の世界が一段と広がると思います。

[文 小山智久]

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