紙メディアの文章とウェブコンテンツの文章の違い

コンテンツマーケティングを取り入れたウェブ戦略がマーケティングの主流になってきたことで、記事の文章力も重要視されるようになりました。

しかし一口に文章といっても、どの媒体に載せるかによって注意すべきことは異なります。ウェブの対局にある媒体といえば紙メディアですが、この異なる性質を理解していないと、記事のミスマッチが起こる可能性があります。

紙メディアとウェブメディアの大きな違いとは 

紙メディアの目的は掲載誌そのものを売ること

紙とウェブの物理的違いは一目瞭然です。紙に印刷されたものとPCやスマートフォンなどで、インターネットを介して読むものという当たり前の違いについて、認識しているかが意外と大切だったりもします。

紙メディアの場合、基本的には媒体そのものを購入するなどして入手しないといけません。そして、手に取ってもらえるようにするためには、読者からの共感を得られるよう企画から編集、また記事の書き方に至るまで、紙メディアそのものの世界観を表現する必要が出てきます。

言うなれば、掲載誌そのものを手にとってもらうために、一つひとつの記事があり、記事自体は掲載誌の売り上げのためにあるともいえます(商業誌の場合)。

ウェブ(オウンドメディア)は記事を一人歩きさせることが目的

一方、ウェブでの記事、ここではオウンドメディアを例にとるとわかりやすいと思いますが、集客のためにはまず検索エンジンに見つけられることが重要です。この場合、掲載されているメディアありきではなく、記事そのものへの注目度が必要になります。さらに大事なことは記事そのものを一人歩きさせること。要するに拡散です。

ウェブコンテンツ用の文章はキーワード重視

検索エンジン対策を施すには、記事の中にSEO用のキーワードをいかに盛り込むかという点も重要になります。

タイトルはもちろん、本文においてもSEOを意識した書き方を意識しないといけません。最近では、キーワードを重視する傾向から、文章中に多くのキーワードを入れるために、オウンドメディアの1記事あたりの文字数も増える傾向になります。以前であれば1500~2000字が適当とされていましたが、今では5000字、8000字という記事も当たり前のように出てきました。

また拡散される点で重要なのがタイトルの付け方です。FacebookやTwitterをはじめとしたさまざまなSNSで、記事をシェアすることが当たり前になった今、「え!?」「何これ?」と思うような目を引くタイトル、ちょっとオーバーなのでは?思えるような表現が用いられます。内容よりもタイトルの刺激性だけで拡散されることが多いのがSNSでよく見られることだからともいえるでしょう。

※もちろんこれが行き過ぎると、記事そのものの信憑性が疑われる事態に陥るので十分な注意も必要です。

ライターに依頼するときの注意点

オウンドメディアを運営するには初期立ち上げや運用していくうえで、ある程度の記事本数が必要になるので、ライターへ外注する場合も出てくるでしょう。

記事の書き方がウェブ用なのかそれても紙メディアなのかによって異なるのですから、ライターへの依頼の仕方も当然異なります。

ここ数年、Webライターという肩書きライターも出てくるようになりました。Webライターといってもアフィリエイト用の記事を書いたり、200字程度の広告用記事を書いていたりといろいろですが、オウンドメディアなどである程度の字数を書いているライターの場合、彼らはSEO対策を含めた文章を得意としています。記事自体がどのような目的で、どんな人に読まれたいのか、そのためのキーワードはこれ、というようにSEO対策用のキーワードを指定して依頼する必要があります。

一方、紙メディアを主にしてきたライターの場合は、キーワードを含めた記事の書き方に慣れていない人もいます。

まず掲載する媒体がウェブメディアであることは伝えたうえで、どのようなテイストで書くのか指示が必要な場合もあります。

タイトルの付け方にもコツがいる

私がウェブサイト用に記事を書き始めた15年前、悩んだのがタイトルのトーンでした。

雑誌でのタイトルは内容を端的に表す、どちらかというと要約に近いような感じで作成していました。

しかし、ウェブの場合はSEO対策も行う必要があるだけでなく、広告で使われるようなキャッチコピーに近いトーンで表現しています。 最近では、大げさともいえるくらいの表現で目を引くようなタイトルもよく見られます。

 例えば

 「飼い主と犬の心温まるストーリー」

というよりは

「涙腺崩壊 犬が飼い主に寄せるあふれる思いに心打たれる…」

 と、ちょっと演出過剰な表現であっても、「なになに?」と思わずクリックしてしまうような仕掛けが、拡散のためには必要だったりします。

紙メディアの記事もウェブで読めるようになり、以前のように紙とウェブとの大きな違いも見られなくなってきています。しかし、「こういう記事を求めているのではない」というミスマッチを防ぐためにも、記事の扱い方が違うことを頭に入れて、作成あるいは依頼の際に注意しておくとよいでしょう。