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人月に銀の弾丸などない。Web制作の相場は、1日4万、5万、6万?

1万円札が4枚

「銀の弾丸などない」とは、便利な魔法の杖はないという意味です。『人月の神話 狼人間を撃つ銀の弾はない』という、フレデリック・ブルックスの書籍から取っています。ソフトウエア業界の、要員×月日という見積もりの矛盾点をついた古典といわれています。見積もりの項目については、先の記事「担当者必見!ウェブサイトの見積もり項目を考える6つの分類と内訳」で考察しましたが、単価については触れていませんでした。この記事では、この単価の根拠となる人月、または人日について考えていきたいと思います。

人月100万円というなんとなくの相場感

いきなりぶっちゃけますが、Web制作のエンドユーザーへの提示単価は、人月100万円(人日5万円×20営業日)というのが、いまの東京の相場感だと思います。開発業務はもちろん、Webデザインやコーディング、ディレクションといった業務も、なんとなくこれを意識して、これより高く見積もるか、安く見積もるか考えていると思います。お客様も何となくそれを知っていて、これより高いと、「高いね」と言い、低いと黙って受け取る感じがします。金額の根拠はなんとなく切りがよいからという感じだと思いますが、30万円ぐらいの人件費のちょうど3倍程度というのも金額の根拠かもしれません。

同業者同士の受発注は、ディレクションを発注元に任せられるので、少し下がって人日4万円が多く(発注元が1万円利益を乗せられる)地方の単価は、東京のそれより安いです。ネットがつながっていたら、場所の制約はないですから、地方の方にお願いする場合も結構あります。

ソフトウエア開発なら、オフショア開発(海外発注)もありますから、もっと単価は低くなります。(国によるが、人月15万〜30万前後)しかし、Web制作でオフショアは、まわりではあまり聞いた事はありません。案件が小規模なわりにコミュニケーションコストがかかるからだと思います。もっとも、大手ポータルサイトが日々の更新をベトナムに一部発注していると聞いた事があります。

聞いた話ですが、IBMの上級SEの人月は200万円以上だそうです。一方、小規模ソフトウェアハウスの、新人SEの人月は、60万円程度だとか。昔大手出版社の、仕事をしていたとき、開発を担当する富士通のSEさんの単価が、大幅にまけて人月135万円でした。会社規模、法人かフリーランスかによっても単価は微妙に変わります。

システムエンジニアの単価相場」というページにSEの単価相場が書かれています。これが、業界全体の相場感の基準になっているような気がします。

優秀な人が早く仕事が終わらせたら売上は少ない?

先の大手出版社の仕事をしていたときです。まだウェブ誕生以前、パソコンが一般的になり、CD-ROMでマルチメディアタイトルを楽しむような時代の話です。システム開発部分を、開発会社から提示された数字をもとに、人月で見積もりを提案したところ、これはおかしいと先方から言われたことがあります。

その疑問点とは、もし優秀なプログラマーが、提示された日数より早くいいものをつくったとしたら、出来の悪く時間のかかるプログラマーより、安くなってしまうではないかということでした。

単価が同じであれば、たしかにそうなってしまいますが、優秀なプログラマーは、単価が高く、出来の悪いプログラマーは単価が安くなるといって納得してもらった記憶があります。つまり先に述べた東京の単価感は、かかわる開発者・作業者の能力がある水準を満たしていることを前提にしているわけです。

ここに問題があります。すなわち優秀で短期間に仕事ができる開発者が、相場がなんとなくあるがゆえに単価を上げづらい空気があるのです。

人日単価を上げる人たちが出てきた

ツールを使って作業効率を上げ、以前より品質のよい成果物を、短期間で納品する会社がでてきました。企業努力を反映して、単価は、人日6万円を提示しています。一瞬高いと思いがちですが、かかる日数が少ないので、総額では以前と変わらない金額になります。

しかし、総額では以前と変わらないのですが、どうしても単価の印象で「高いですね」と言われることが多いそうです。その場合は、総額では変わりませんよと言って納得してもらっているようです。

見積もりの逆転現象が発生してしまう。

先の単価を上げた会社の見積もりをもとに、エンドユーザー向けの見積もりを作ることを考えてみましょう。エンドユーザー向けの見積もり相場は、人日5万円ですから、単価を上げた会社の見積もりと比較すると、赤字になってしまいます。

その場合は、たとえば、6万円×4日=24万円と、4万円×6日=24万円は、総額では同じですから、後者で見積もりを出してもらい、それをベースにエンドユーザーへの見積もりを作ります。6日分の利益を上乗せできるので、その点でも助かります。増えた日数と利益は、外注からあがってきた成果物のチェックコストになります。

あまり健全ではない、人日の操作

しかし、単価を操作するのは、心苦しいところがあり、あまり健全ではありません。しかし、外注単価4万円の時と同様、1万たして、人日7万円でエンドユーザーに見積もるのは、無理でしょう。可能性として考えられるのは、人日6万円をそのまま提示し、20〜30%の利益分をディレクション費用として別枠で見積もるというのが理想的な姿かなと思います。まだこういった見積もりをしたことはないですが、ひとつの考え方かなと思います。

それでも、相場より高い人日6万円をエンドユーザーに認めてもらう必要があるので、なにか説得材料は必要かなと思います。その壁は思いのほか高そうです。

やはり、人月に銀の弾丸などない。

以上のことから、やはり、人月に「銀の弾丸」はないようです。エンドユーザー、受注元、外注先、それぞれに思惑があって、それらを調整するのは思いの外難しいです。見積もりが高くて失注してしまった場合、見積もりにかけた労力を考えると、受注元、外注先とも、労多くして益少なしで、がっかりしてしまいます。

受注元になることが多い弊社は、取れそうな金額と、外注先が見込む工数との差異を埋めるべく、調整に翻弄することになります。要件が不確定な案件は、バジェットを見込むがゆえに、どうしても高く見積もることになります。実はそれはとても損なことで、実際にプロジェクトが始まったとき、単に安いからというだけで、別の業者に発注されてしまうと、実は後から細かな要件が出てきて、その後の開発が大変で、結局、結果的に、高い金額を請求されてしまったという話はよく聞きます。

発注側できるだけ要件を詰めた状態で、見積もりを依頼していただけると、確度の高い見積もりを提示できると思います。そうすれば、不用意に高い見積もりを提示されることがなくなり、双方にとって良い関係を作ることができると思います。それは、外注先の協力を依頼する私たちにとっても言えることです。

 

(担当:小山智久)

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最終更新日:2017年2月22日

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